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公募研究「研究概要」

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新学術領域研究「分子自由度が拓く新物質科学」の公募研究(平成23年度)

固体物質における伝導性、磁性、誘電性、光物性など多岐に渡る物性の発現は、ひとえに原子あるいは分子がどのように凝集するか、その凝集の様式に依存している。原子が積み上げられることによって生じる無機物質に比べると、分子という単位で積み上げられる分子性物質には、質的に異なる自由度が存在する。分子の持つ異方的な形状によってもたらされる分子配列の多様性、分子内の化学修飾や原子置換によってそのエネルギーや空間的広がりを大きく変える分子軌道の設計性、さらに、屈曲や伸縮などの内部構造の柔軟性など、分子性物質に特有の"分子自由度"が多彩な物性を生み出す源泉となっている。
本領域では、分子の自由度が新しい物質科学のパラダイムをつくる可能性に注目し、この自由度が本質的に関与する物性を開拓することを目指して、これまで発展を遂げてきたそれぞれの領域(伝導性、磁性、誘電性、光物性)の枠を超えた統合的な研究を推進する。
このため、下記の研究項目について、「計画研究」により重点的に研究を推進するとともに、これらに関連する独創的で優れた発想に基づく2年間の研究を公募する。1年間の研究は公募の対象としない。なお、研究分担者を置くことはできない。
公募研究の採択目安件数は、単年度当たり(1年間)の応募額250万円を上限とする実験的研究を17件程度、150万円を上限とする理論的研究を5件程度予定している。
なお、研究内容の詳細については、領域ホームページ(http://www.MDF.t.u-tokyo.ac.jp/index.html)を参照すること。

(研究項目)
A01 分子配列自由度を利用した新規電子相の開拓
A02 分子軌道設計による新規電子相の開拓
A03 スピン自由度を利用した電子相制御
A04 光による電子相制御
A05 新しい電子機能を目指した分子内自由度の開発と分子間相互作用の制御



A01班
本研究項目では、分子配列が物性を支配する重要なパラメータであるとの認識のもと、分子配列自由度を物理圧力及び化学圧力を駆使して制御することにより、強相関物性科学、半導体物性科学、及び誘電物性科学に関わる問題に挑むとともに、新しい電子相の開拓を目指す。具体的には、既存の物質および新規物質について、物質の単なるキャラクタリゼーションではなく新しい電子相の開拓のための構造、輸送特性、磁性、熱力学物性、表面物性など計画研究を補強あるいは相補的な手法を用いる実験研究と、格子構造と電子相との相関を扱う理論研究を対象とする。

A02班
本研究項目では分子軌道設計による新規電子相の開拓をめざし、主に以下の研究を進める。(1) HOMO/LUMO二軌道分子系におけるスピン-電荷-格子自由度の協奏による新規電子相の開拓、π-d相互作用系や単一分子性金属等の擬縮退分子軌道系における軌道混成や水素とπ共役電子強結合系での新たな電子相の設計や機能発現を目指す。(2)高圧下の結晶変形、ヘテロ界面、電場印加による電子状態変化を第一原理計算により予測を行う。(3)X線粉末回折法による新物質の構造決定の試み、電場・磁場・光等の外場応答条件下の精密解析、電子密度の直接観測等を行う。
 上記の相補的研究として、新分子物質開発、特殊条件下の構造および物性評価の研究を公募の対象とする。

A03班
本計画研究では、分子の持つ内部自由度の中で、スピンの自由度を積極的に利用する。Feなどの局在3dスピンや局在πスピンを持つ有機導体に注目し、そのスピンと伝導π電子との相互作用を利用して、新規機能、新規電子相開拓を狙う。さらに外部から高周波電磁波を加えることで、局在3d電子等の局在磁気モーメントの向きを反転し(電子スピン共鳴)、π電子が見る内部磁場を変動させ、π-d相互作用を起源とする物性(磁場誘起超伝導や巨大磁気抵抗など)を制御することにも挑戦する。
上記の相補的研究として、電子スピン共鳴による研究、磁場中での熱測定、輸送現象等のスピンに関わる研究を公募の対象とする。また、実験研究だけでなく、関連した理論研究も対象とする。

A04班
本計画研究では、分子性物質にフェムト秒ポンププローブ分光、テラヘルツ時間領域分光、レーザー光電子分光を積極的に適用し、電子系と分子自由度の相互作用に基づく集団光応答と光誘起相転移ダイナミクスの精密検出を行い、その物理的機構を解明する。結果をもとに物質を最適化することによって、光による超高速かつ高効率の電子相制御の実現を目指す。公募研究では、電子系と分子自由度のダイナミクスの検出に関して計画研究と相補的なレーザー分光を用いる研究、あるいは、レーザー分光と物質開発をつなぐ(顕微分光を含む)基礎的分光を用いる研究、および、分子性物質の光応答に関する理論研究を対象とする。

A05班
本研究項目は、物質科学の根幹をなす機能性物質の開拓を主たる課題とする。計画研究では、分子の自由度を用いて、成分分子そのもの、ならびに分子間相互作用を設計し、新しい電子機能を有する分子性物質の合成を行う。さらに、得られた分子・結晶の構造や、電子機能を検討し、導電性、磁性、誘電性等、複合物性を含めた新しい機能性をもつ分子性物質の創成を目指す。本領域で扱う物質・機能性の枠を拡大する広範な分子性物質において、新機能物質開発およびその理論研究に果敢に挑む課題を公募の対象とする。